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浜田省吾ON THE ROAD 2022 武道館ライブの感想

幸運なことに2022年1月7日(金)の浜田省吾ON THE ROAD 2022 武道館のチケット抽選に当選し、無事にライブ鑑賞ができました。
その感想を書きますが、いろいろと思い入れのあるライブなので前置きも長くなります。
ライブ自体の内容やレポートに関心がある方は、この記事の前半部分は読み飛ばして下さい。(笑)

新型コロナウィルスの流行以来、浜田省吾さんのライブ予定も中止が続き、そんな中での久々の大規模ライブであり、しかも1982年に実施された伝説の武道館公演と同じセットリストで演奏をするというものです。
1982年の武道館ライブでは29歳だった浜田省吾さんですが、今回はそれから40周年ということで現在は69歳です。浜田省吾さんにとって武道館公演は今回で通算5回目で特別な思い入れがあるというメッセージを示されています。
これは熱心なファンであれば絶対に応募するであろう超激戦のプラチナチケットになることはわかっていました。

過去の自分の浜田省吾さんのライブチケット抽選の獲得成績では、アリーナクラスの1万人規模会場のチケットは当選するものの(それでも外すこともある)、数千人規模のホール会場のチケットは外れてばかりでした。
そんな経験則から、今回の武道館ライブも、正直な話、当たるわけはないよな、というダメで元々という感覚で特設サイトの申込手続をしていました。

全くの余談ですが、人気チケットの予約方法がデジタルに移行したことについての雑感は、下記の別ブログに書いています。

 

ネットの高額チケット転売問題は法規制するべきか?浜田省吾ライブにかこつけて語る|遠山桂ブログ(2016年08月26日)

 

そんな感覚で申込をしていたので、仕事の調整もしていなければ、東京に行く準備もしておらず、チケット当選が判明したときは、思わず「マジか! 当たってるよ」と声を出してしまいました。
外れるのが当然と思っていた抽選に当たる幸運というのを体験できました。

それから急遽、仕事の日程調整を行い、新幹線とホテルの予約を済ませ、1月7日を待つことになりました。

しかし、2022年の年明けからは国内でもナウィルスのオミクロン株の流行が始まり、いわゆる第6波がやって来ました。
東京の一日あたり感染者数は直近の3ヶ月くらいは二桁で推移しており、ほぼゼロコロナといってよい状況でしたが、1月6日時点では641人という報道があり、すぐに千人を超える見通しになりました。
これはライブがもう1週間遅ければ中止になったかもしれません。
そんな状況下でのライブなので、入り口での検温・手指消毒は当然として、マスク着用が義務化され、発声は禁止行為とされ、応援は拍手のみというコロナ以前の価値観では非常識なレギュレーションになっています。感染拡大の予防のためには仕方のないところです。

そうした緊張感の中で、ライブ初日の6日には東京に雪が降り、ツイッターではライブ参加者の投稿が雪景色の武道館の景色ばかりになっていました。
セットリストの中には、「悲しみは雪のように」が入っていますが、これは雪景色と同期して最高にロマンチックな演奏になることは間違いないのですが、行列待ちの寒さは堪えることが想像に難くありません。

また、ツイッター投稿の中には、「せっかく当選したのにコロナ感染状況を気にする家族から反対されてライブに行くのを泣く泣く諦めた」という悲痛なものもあり、その心境を思いやると辛い気分になりました。
更にチケットを確保できなかったけど、とりあえず武道館には行ってみたという投稿もあり、そうした熱いファンの思いを汲んで観賞しなければという気持ちにもなりました。
ご高齢のファンからは「人生最後のライブだと思って申し込みをしたけど外れました、もうライブには行けないと思う」という趣旨の投稿もあり、すごく切ない気持ちにもなりました。

このようにライブに参加する以前にファンの方々の思いに触れ、初回武道館から40周年という時間に思いを巡らせてみました。
1982年当時は、僕はまだ中学生で浜田省吾さんの存在自体は知っていましたが、特に楽曲を聞いたことはありませんでした。

僕が浜田省吾さんの楽曲と出会ったのは、1991年に大学に入学をして、アルバム「J・BOY」を先輩から借りた18歳の時でした。(当時はカセットテープで聴いていました)。
このアルバムは「19のままさ」「路地裏の少年」「遠くへ」など、学生気分とマッチする楽曲が多く、文字通りテープがすり減るほど聴き込んだものです。

1982年の武道館公演セットリストは、「J・BOY」発表以前の楽曲ばかりですが、その後に揃えたアルバムで何十年と聴き込んだ名曲が揃い、近年のライブでは演奏されることも減ったものも多く、期待感が高まります。

自分のファン歴としては35年程になりますが、リリースされたアルバムは全て購入しておりつつも、ライブには7~8回程度しか行っていません。
コアなファンの方から見たら、まだまだ未熟者という自己認識をしています。

ちなみに前回のライブ参加は2016年の名古屋ガイシホールです。その時の感想は以下のページに長々と書いています。

 

ON THE ROAD2016 名古屋ガイシホール感想(2016年11月27日)

 

この2016年のライブは親子4人で参加した、我が家の中では記念すべきライブです。(笑)
それから5年ちょっとの時間が空きましたが、久々のライブを武道館で味わえるという幸運に感謝して東京へ向かいました。

とまあ前置きが長くなってしまいましたが、これからライブの感想を書きます。

 

<ON THE ROAD 2022 武道館セットリスト>
前奏
In My Life(ビートルズ)
入場曲
G線上のアリア

01.壁にむかって
02.明日なき世代
03.青春のヴィジョン
04.土曜の夜と日曜の朝
05.愛という名のもとに
06.モダンガール
07.君の微笑
08.悲しみは雪のように
09.いつわりの日々
10.路地裏の少年
11.ラストショー
12.片想い
13.陽のあたる場所
14.終りなき疾走
15.独立記念日
16.反抗期
17.東京
18.愛の世代の前に

アンコール
19.あばずれセブンティーン
20.HIGH SCHOOL ROCK & ROLL
21.MIDNIGHT BLUE TRAIN
22.ラスト・ダンス

 

前奏として、真っ暗なステージの中のBGMで省吾さんの歌声の「In My Life」が流れ、やはり武道館ではビートルズへのリスペクトとして、その楽曲を用いるのだなと思いました。
ざわざわとしていた館内も、ライトが落ちて省吾さんの歌声が響くと一瞬で静まり、次の瞬間の高揚を待ち焦がれる独特の間が漂いました。

G線上のアリアをBGMにメンバーが入場し、そこからは一気呵成のライブ突入です。

01.壁にむかって
「こんなに惨めな暮らしの中でさえまだ
愛想笑い 疲れ果てた もうやめようぜ」
この出だしの歌詞が2年間続いているコロナ自粛を連想させ、このライブが転換点となることを祈るような気持ちで聴きました。
ライブ時には飛び交う「省吾~」コールは全くなく、拍手のみが響いていました。

 

02.明日なき世代
この疾走感あふれるメロディーで会場は総立ちになりました。

ここで省吾さんのMCになり、「みなさんは一緒に歌ったり叫べないので手拍子になりますが、ずっと手拍子をしてたら手が痛くなります。なのでエア手拍子でいいです。」との温かい言葉で会場からは笑い声が漏れました。

 

03.青春のヴィジョン
これは最新のアレンジバージョンで、前奏からカッコよくなっていました。

 

04.土曜の夜と日曜の朝
ノリノリの楽曲ですが、オーディエンスは手拍子で応えるしかありません。

 

05.愛という名のもとに
バラードでは着席して、しっとりと聴き入りました。
後でツイッターを確認したところ、「普段のライブではバラードでも大声で歌う観客がいて、お前の声を聴きに来たわけじゃないと思うところ、誰も発声しないのでじっくりと省吾の歌が聴けてよかった。」というような投稿があり、数少ないコロナ下でのライブのメリットなのかも。

 

06.モダンガール
MCで、省吾さんもコロナ下では数人としか会わない環境で過ごしていて、今日は数千人の前で歌うのは違和感があるというような話をされていました。

また、80年代に年間150ステージをやっていた頃は、当初のステージ衣装はスーツとか着ていたけど、段々と動きやすさが優先となり、ジーンズにTシャツ、バンダナというところに落ち着いたのであり、敢えてTシャツとかバンダナにこだわっていたわけじゃないと話されていました。

当時は2週間分の着替えをボストンバッグに詰め込み、ラジカセとギターを持って満員の地下鉄に乗り込んでツアーに出ていたそうで、ステージ上で用意されたその小道具を持って、その様子を再現されていました。

 

07.君の微笑
この曲をライブで聴いたのは初めてでした。
若い恋人同士の切ないバラード、いいですね。
(歌詞の世界は辛い状況なのですが)。

認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを。
と、脳内のシャア・アズナブルがつぶやいたとか。

 

08.悲しみは雪のように
1992年のフジTVドラマ「愛という名のもとに」の主題歌となった、省吾さんのシングルでは最大のヒット曲ですね。
(前日の)雪の武道館の余韻に浸れるよい曲でした。

 

09.いつわりの日々
「Sand Castle」バージョン。
これもまた切なすぎるバラードです。

この曲の後で15分の休憩を挟みました。

 

10.路地裏の少年
休憩後の出だしで「路地裏の少年」。
この曲は個人的にも思い入れがあって、今回聴けてよかったです。
冒頭で省吾さんの声がちょっと掠れたかなと感じましたが、すぐに元通りに。
69歳で、この声量でパフォーマンスが健在なのは素晴らしい。

 

11.ラストショー
オーディエンスは発声ができない環境で、「サヨナラ」の歌詞で手を振る一体感は爽快でした。

MCでは、40年間という月日の流れの中で、当時いてくれた父、母、友人、それに仕事仲間の何人かはいなくなっていろいろ変わってしまった。
でも、歌はまるでタイムカプセルみたいに、その時を閉じ込めて、たまに開いて聞くとその時の情景や感情や、時にはにおいまでよみがえる瞬間があると語っていました。

これは同感で、浜田省吾さんのアルバムを聴くたびに、そのアルバムを買った当時の情景や気分が思い起こされることがあって、音楽というのはタイムカプセルの効果があるなと思いました。

 

12.片想い
これも名曲ですね。
なかなか重い曲でカラオケで選曲はしにくい曲ですが。
(そういえば、カラオケには何年も行っていないな。)

13.陽のあたる場所
「愛だけ~」という町支さんの力強いコーラスが心地よかったです。

MCで、武道館は今回で5回目になること、省吾さんの中では武道館は特別な場所であって気軽に何回もライブを行えるところではないという気持ちを語ってくれました。
ロック少年だった省吾さんが、ビートルズの来日公演が行われた武道館の様子をテレビ中継で観て夢中になった思い出が強いそうです。

そんな特別な武道館公演で時間を共有できていることが尊かったですね。

ここで「MY FIRST LOVE」の「初恋」のショートバージョンをソロギターで弾き語りしてくれました。
「ドーナツ版に刻まれた3分間のストーリー 少年と世界をつないでた」
心を燃やせ、と煉獄さんに言われなくても、燃えますね。

 

14.終りなき疾走
ここで疾走するロックです。
燃えないわけはありません。
手拍子が激化して、手のひらが痛いです。(笑)
後でツイッターを確認したところ、会場外での応援組が「もう寒くはないかい?」の歌詞のところで、「寒いよー」という声が漏れていたとのこと。(可哀そう)

「15の時 通りのウィンドウに
飾ってあったギターを見た時
稲妻が俺の体駆け抜け」
省吾さんは15歳でギターを見て熱くなったわけですが、音楽の素養のない僕は22歳でパソコンを見て物欲が炸裂したのを覚えています。(余談)

 

15.独立記念日
「いかれたクラスの奴等の話など上の空
単車 ディスコ 喧嘩 煙草 街の女達
退屈で死にそうな授業」

現在のコンプライアンス基準からは外れる学生像の歌ですが、スクールウォーズ世代の僕には辛うじてわかる世界観ですね。
楽曲として楽しむにはノリのよい曲です。

 

16.反抗期
「ボストンバッグにラジオと着替え押し込み
退学届けと手紙ポケットに入れて」

これもまたアウトローな曲です。
そこがいいのです。

 

17.東京
「高速道の下で生まれて 地下鉄の上で死んでいく」
この歌詞が長い間、地方民にはピンと来ませんでした。
しかし、武道館(東京都)で「東京」を聴いたときに、生涯を東京で過ごすというのはそういうことかと合点がいきました。

歌詞について「ディスコで恋して」の部分が「クラブで恋して」に変わっており、省吾さんの時代に合わせた言葉のアップデートがありました。

この「東京」の演奏時にはレーザー光線がこれでもかというくらいに飛び交い、客席に直撃しそうでいて微妙に避けている親切乱舞でした。
ステージ周辺では撮影機材が動き回っていたので、映像作品として2022武道館ライブは発表される気はしますが、「東京」の光線乱舞はなかなか感動できると思います。

 

18.愛の世代の前に
これは文句なしに盛り上がるロックです。
1981年の8月6日に作った曲という紹介がありました。
言うまでもなく、特別な曲ですね。

「愛の世代の前の~」というサビのところでは、ステージ前面から炎がこれでもかというくらいに次々と焚きあがります。
炎が炸裂するたび、2階席の後部にいたのですが、熱風が伝わってます。
これはステージでは相当に熱いだろうと思いました。
更にエンディングではステージ前面の上下から一斉にマグネシウム花火が吹き出し圧巻でした。これは映像でまた確認したいところです

 

アンコール
19.あばずれセブンティーン
「頭はカラッポ」な脳天気な曲ですがライブでノリノリになるのは不思議なものです。
オーディエンスの平均年齢は60歳くらいではないでしょうか・・・。

 

20.HIGH SCHOOL ROCK & ROLL
これもライブでは初めて聴いた曲でした。

 

21.MIDNIGHT BLUE TRAIN
アリーナ席と二階席の間を緑の光線が幕のように広がり、幻想的な光景の中を省吾さんが熱唱してくれました。
合唱できないのは残念でしたが、省吾さんの美声で勇気づけられる名曲です。

 

22.ラスト・ダンス
武道館のラストといえばこの曲。
名残惜しさが最高潮になりました。
とても貴重で素敵な時間をありがとうという気持ちでした。

 

最後に省吾さんは、「次に会うときはみんなが声を出して歌えるように」と仰っていました。
コロナの社会的収束はまだ見通せませんが、省吾さんはON THE ROAD 2022ツアーをやりたいと考えているのは間違いないでしょう。
69歳の現在で万全のパフォーマンスのライブをやってくれました。次の機会ではオーディエンスも万全の態勢でシャウトが出来る環境が整うことを願うのみです。


※公演後の武道館の先端はまさに”光るタマネギ”でした

このような最高の時間を提供して頂いた省吾さんとスタッフの皆様には心から御礼を申し上げます。(このような場末のブログを関係者の方が目にすることはないでしょうが)。
それからチケットの抽選漏れで参加できなかった大勢の先輩・同輩・後輩のファンの皆様には申し訳ないという気持ちで一杯です。
でも、きっと近いうちにまたライブの時間を共有できる機会はあるものと信じています。

人類が疫病・感染症で苦しんだ歴史は何度も繰り返していますが、必ず出口はありました。

新型コロナウィルス対応についても、国民のワクチン接種割合が8割近くになり、経口薬も処方されるようになりました。
感染者は多くても重症例は減少傾向であり、インフルエンザと同等の取扱いになる道筋も見えてきたところです。
出口はもう少しだと信じて現在を乗り越えたいですね。


投稿者 : 2022年01月10日 16:42 [ 管理人編集 ]