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浜田省吾とストレス社会

 現代社会にはストレスが蔓延している。ビジネスマンにとっては、今も昔も仕事によるストレスが最も悩ましいところだろう。

 具体的には、上司や部下との人間関係であったり、残業や休日出勤、早朝からの通勤や転勤もあろう。給料が安いというのはかわいい方で、何も決まらぬ生産性のない会議や無意味なアリバイ工作のための成果報告書の作成なんかもイライラ感を募らせてくれる。

 そんなストレスを発散するためには、ゴルフや野球等のスポーツで汗を流したり、食欲やアルコールに走ることもあるだろう。クレジットカードで衝動買いをしてしまうのもアリかもしれない。
 仲間内で騒ぐときは、カラオケでガンガンやって憂さ晴らしというのもベタな解消法だ。

 それで、カラオケで浜省を選曲するなら、そんな気分のときは「J.BOY」や「MONEY」あたりになるだろうか。
 「J.BOY」では「仕事終わりのベルにとらわれの心と体取り返す夕暮れ時」とか「そしておれは心の空白埋めようと山のような仕事抱え込んで凌いでる」という歌詞あたりで力が入ってしまう。
 「MONEY」では、「俺は何も信じない 俺は誰も許さない 俺は何も夢見ない 何もかもみんな爆破したい」と絶叫すると、最高に気分が良くなる。

 また、浜田省吾のライブに参加すると、「Oh Yah!!」と絶叫した後に彼がこう語る。

「Oh Yah!!と叫んだところで何が変わるわけでもない。何も問題は解決しない。でも何故か気分は良くなるだろう。だから一緒に叫ぼう。」

 こういう軽快なトークに乗せられ、会場の中はかつてのドリフの「8時だよ!全員集合」並みに何度も「Oh Yah!!」が連呼される。(「8時だよ!全員集合」の掛け声は「オッース!」だったが。)

 カラオケやライブに行っても、浜田省吾が言うように問題がそれで解決するわけではない。ただ、その場で気が晴れるだけである。
 それでも、日々鬱積するストレスが多少でも和らぐことは確かだ。

 このストレスというのは物事の受け取り方で変化するもので、あるプロジェクトを任された場合に、それを負担に感じるのか、それとも奮い立つのかで180度異なった精神状態となりうる。
 だから、最初は憂鬱に感じていた仕事も、同僚とカラオケに行くことによって、楽しく思えるような劇的変化をすることもある。もっとも、カラオケの18番を奪い合いあって血の雨が降り、益々職場の人間関係が悪化する可能性もあるわけだが。

 職場というのは集団行動の場だから、一定のルールに拘束されるのは仕方が無い。わがままは通らないので、仕事の目的を達成する範囲で行動の自由は制約を受ける。そこは社会人として受け入れなくてはいけない。
 しかし、理不尽な事件や納得いかない処遇というのも、残念ながら起こりうる。そんな場面に遭遇すると、ストレスの臨界点に達してしまうこともある。
 その状況が長期化すれば、精神的に不安定となり体調まで崩してしまうことも多い。ひどい場合は、鬱病になったり過労死につながったりもする。

 そこまで嫌になってしまった職場なら、辞めてしまえばいい。それができるなら、ストレスなんて溜まらない。
 その仕事や職場が嫌で嫌で辞めたいと思っても、辞めることができないときにストレスが極大化する。
 つまり、嫌な仕事を我慢しながら続けざるを得ない状態が最大のストレスともいえよう。

 話は変わって、バブル後のリストラ旋風が吹き荒れた時期を経験し、もはや終身雇用は幻想だということを誰もが肌で感じ取っている。
 公務員ですら合併や合理化で人員削減が進んでいる。都市銀行が破綻し、大手証券会社も破産するのも目撃した。無条件で安泰な勤務先なんて存在はしない。

 そんな終身雇用が期待できない職場で、心底から嫌だと思う会社に依存する理由は何であろうか?
 それは、次の働く場所が見つからないということが大きな原因といえよう。

 では、嫌だと思っている職場でも、「辞めようと思えばいつでも辞められる」という心構えができていればどうであろうか?
 恐らく、精神的ストレスは格段に軽減するに違いない。命令口調の上司にも、口ごたえの一つもできる余裕が生まれるだろう。

 そのためには、「辞めようと思えばいつでも辞められる」と思えるだけの裏付けが必要となる。
 つまり、自分には技術があり、その技術があれば次の職場はそれほど苦労しなくても見つかるだろうという根拠が必要だ。

 しかし、技術なんて簡単には身につくものではない。もっとも手っ取り早いのは、今の職場の仕事に精通し、同業であればどこに行っても通用するというスキルを積んでおくことだ。会社が資格取得を奨励しているなら、自分のために積極的に取っておくべきだろう。
 そのためには、一定の修業年数が必要だ。石の上にも三年とは、よく言ったものだ。

 現在の職場では特に何の技術も身につかないという状況であれば、余暇時間を利用して自分で努力をするしかない。
 そうして自分の技術に自信が持てるようになれば、気がつく頃には会社は恐くなくなっているから不思議なものだ。
 ストレスに打ち克つには、適度に息抜きをしながら、職場のスペシャリストとして自立していくことだ。

投稿者 : 2006年04月12日 03:17 [ 管理人編集 ]